料理好きなキコと、料理上手なマダム・節子さんの交流を通して、季節の楽しみ方を教えてくれる漫画『季節が好きなわたしとマダム』(にいざかにいこ/KADOKAWA)。日々何かと忙しい私たちの背中をそっと押してくれるような、小さな暮らしの知恵が各話にちりばめられている。本稿では、本作に収録された描き下ろしエピソードから、初夏の訪れを感じるひと幕を紹介したい。
気持ちのいい天気が続き、しばらく歩くと汗ばんでくるような時期。仕事中にウトウトと春の眠りに誘われたキコは、荷物の発送ついでに散歩に出る。コンビニで見かけたのは、端午の節句の柏餅。キコは、家に帰ってから冷たい緑茶を取り出す。節子さんがお土産にくれた深蒸しの煎茶を、朝のうちに水出ししておいたのだ。
茶畑が美しい若草色に染まる4月の終わりから5月の始めごろ。新茶がいちばん美味しいと言われているのは、この時期だ。汗ばんで乾いた喉に水をゴクゴクと流し込むのがいいが、水の中でゆっくりと茶葉が開いてまろやかさが出た緑茶を飲むのも、ささやかな贅沢。キコが2杯目のアレンジとして一手間かけた緑茶も、あたたかさが増した頃に試してみたい飲み方だ。