貴重な文化財、誰がどうやって修理しているの?「歴史を受け継ぎバトンを渡す」知られざる“国宝修理装こう師”の仕事に迫る
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歴史的価値のある美術品、史料が展示されている催しがある。その展示物がどんな人たちの手によって維持されているのか、想像したことはあるだろうか。
『国宝のお医者さん』(芳井アキ/KADOKAWA)は、知られざる“国宝修理装こう師”の仕事に焦点を当てたお仕事漫画である。
国立博物館の学芸員・押海。彼は展示の目玉である掛軸の修理を、腕の良い国宝修理装こう師・五條に依頼すれば箔がつくのでは…と算段していた。しかし五條にその依頼を断られてしまう。
押海が五條へ依頼したのは「名声がある職人だから」という理由からだった。しかし押海は五條の技術と信条に触れ、改めて真剣に修理を頼み込む。
作中で五條が手掛ける史料は市井の人々が所有する文化財が多い。ただ修理して終わりにせず、五條は持ち主が史料を維持するためにどう保存すれば良いかアドバイスを送る。遺品の文化財を手放す予定がある依頼主に対しては、手放すにしてもどういう想いを持って扱うべきかを説く。五條の文化財への敬意を示すあたたかい姿勢は、好感を抱かせる。