もし、自分の余命がいくばくもないことが分かったら、あなたは余生をどう過ごしたいだろうか。私は、働きたい。社会との接点をもち、誰かの役に立っているという実感を得ながら、毎日を過ごしたい。それも、できることなら、狭い病院の部屋ではなく、自然豊かな場所で。そう思うのは、決しておかしいことではないはずだ。
だから、『星昇りの島』(KADOKAWA)には共感せずにはいられなかった。この作品は、『あしたの名医』『偽医者がいる村』で知られる、現役医師でもある作家・藤ノ木優さんによる医療小説。もし、社会に溶け込んだまま最期を迎えられる場所があったとしたら。患者を「かわいそうな人」と決めつけない温かな視線が、この物語を貫いている。
島全体で、終末期患者の最期を支える
物語の舞台は、愛媛県の西側にある人口1500人の架空の離島・生寄島。ここで行われている「星昇りの島プロジェクト」は、余命1年以内の終末期患者を受け入れ、島全体で最期を支える、自治体主導の全国初の試みだ。12歳で星細胞腫という脳腫瘍を患った18歳の相原希望は、母の反対を押し切り、この島への移住を決める。願いは、一度でいいから働くこと。「病人としてなにもしないままで死にたくない」という強い思いに、「うちで働いてもいいぞ」と応えたのは、島で唯一の訪問医・御子柴だった。