作家やクリエイター、お笑い芸人、音楽アーティストなど、多彩なジャンルで活躍する人たちが、心に残る一冊をセレクトして、自身の言葉で紹介! 本を選んだ理由やそれぞれならではの視点を通して、本との新しい出会いや、読書の楽しみを届けます。
ほんとうの恋は絶望に似ている。そのことをあなたは知っているだろうか。
知っていると言えるあなたにも、知りたいと思うあなたにも、手渡したい本がある。
江國香織『ウエハースの椅子』(新潮文庫)には、恋と絶望のすべてが描かれている。
語り手の『私』のもとには、さまざまなものが尋ねて来る。野良猫と妹と、恋人と絶望。
恋人は完璧なかたちをしていて、いつでも『私』を信じられないほど幸福にしてくれる。
引用----
私は恋人によってこの世につなぎとめられていると感じる。それは奇妙な感覚だ。恋人がすべてであると感じるのではなくて、恋人といるときの私がすべてだと感じる。