紫式部『源氏物語 二十四帖 胡蝶』あらすじ紹介。源氏物語一のモテヒロイン・玉鬘の恋の行方は!? 養父・源氏との禁断の恋に落ちるのか…?
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平安貴族の物語として有名な『源氏物語』ですが、古文で書かれていることからとっつきにくく感じる方もいるかもしれません。古典文学を身近に感じられるように、1章ずつ簡潔にあらすじをまとめました。今回は、第24章「胡蝶(こちょう)」をご紹介します。
『源氏物語 胡蝶』の作品解説
『源氏物語』とは1000年以上前に紫式部によって書かれた長編小説です。作品の魅力は、なんといっても光源氏の数々のロマンス。年の近い継母や人妻、恋焦がれる人に似た少女など、様々な女性を相手に時に切なく、時に色っぽく物語が展開されます。ですが、そこにあるのは単なる男女の恋の情事にとどまらず、登場人物の複雑な心の葛藤や因果応報の戒め、人生の儚さです。それらが美しい文章で紡がれていることが、『源氏物語』が時代を超えて今なお世界中で読まれる所以なのでしょう。
「胡蝶」は源氏に引き取られた玉鬘(たまかずら)が結婚するまでを描いた「玉鬘十帖」の1話です。養女である玉鬘に対し密かに恋心を抱いていた源氏は、遂に行動を起こし玉鬘に愛の告白をします。玉鬘に迫るシーンは生々しく描かれ、玉鬘の嫌悪感も切々と伝わります。今まで容姿だけでなく振る舞いや人柄も輝かしく描かれていた源氏ですが、その魅力に陰りが出てきているのか、読者も身構えてしまうような一場面です。また、後に重要人物となる柏木が登場し、玉鬘に求婚します。他の求婚者も現れ、今後の展開に目が離せません。