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紫式部『源氏物語 二十五帖 蛍』あらすじ紹介。実子として引き取った玉鬘に思いを募らせる源氏。源氏の屈折した愛情に困惑

  •  平安貴族の物語として有名な『源氏物語』ですが、古文で書かれていることからとっつきにくく感じる方もいるかもしれません。古典文学を身近に感じられるように、1章ずつ簡潔にあらすじをまとめました。今回は、第25章「蛍(ほたる)」をご紹介します。


    源氏物語 二十五帖 蛍

    『源氏物語 蛍』の作品解説


    『源氏物語』とは1000年以上前に紫式部によって書かれた長編小説です。作品の魅力は、なんといっても光源氏の数々のロマンス。年の近い継母や人妻、恋焦がれる人に似た少女など、様々な女性を相手に時に切なく、時に色っぽく物語が展開されます。ですが、そこにあるのは単なる男女の恋の情事にとどまらず、登場人物の複雑な心の葛藤や因果応報の戒め、人生の儚さです。それらが美しい文章で紡がれていることが、『源氏物語』が時代を超えて今なお世界中で読まれる所以なのでしょう。


     夕闇に解き放たれた蛍の光が映し出す玉鬘(たまかずら)の横顔と、その美しさに目を奪われる兵部卿宮の姿が印象的な「蛍」の章ですが、その裏には源氏の屈折した玉鬘への思いがあります。養女として引き取ったものの、源氏は魅惑的な玉鬘への思いを抑えることができず、手を取ったり添い寝をしたりしながら何度も玉鬘に言い寄ります。年を重ねた地位のある人間として、それ以上強引な手段はとらないと自画自賛している風もありますが、やんわり拒む玉鬘に「親の言うことは素直に聞いておけ」と説教じみたことを言うところは、完全無欠の源氏に変化を感じます。幻想的な蛍のシーンですが、玉鬘を他の男の手に渡すつもりのない源氏による演出であったことを考えると受け取る印象が変わり、単に情趣ある一場面ではなく物語に面白みを加える効果があるように感じます。

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