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関西の山村で「人」を食べている? 調査に向かうも通報者は未だ発見されず/右園死児報告②

  • 『右園死児報告』(真島文吉/KADOKAWA)第2回【全5回】

    <この報告書は安全である>

    『うぞのしにこ』と読む。この文字列を、人間、動物、無機物、現象などの名前に採用すると、壊滅的な被害が出る。

    「右園死児に至る集団報告」は明治二五年から続く政府、軍、捜査機関、探偵、一般人による非公式調査報告体系。右園死児という名の人物あるいは動物、無機物が、規格外の現象の発端となることから、その原理の解明と対策を目的に発足した。

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    報告四号


    報告案件 乾物
    報告者 政府職員


    関西の山村で人間が人間に食害されているという通報があり、警官三名が急行。村役場に突入すると役場職員数名が巨大な乾物を回し食いしていた。職員達は受け答えができず、役場内も尋常な状態ではなかったため、応援を呼び村を封鎖した。


    一〇〇名近くいるはずの村人達は影もなく、異常に肥えた役場職員の一人が数時間後に乾物を指さし、右園死児(うぞのしにこ)の名を口にしたため、捜査権が政府に委譲された。役場職員達と乾物は確保されたが、村人と通報者は未だ発見されていない。

    報告五号


    報告案件 法案
    報告者 不明


    国会において複数の野党議員により右園死児(うぞのしにこ)関連情報開示法案が提出され、審議が即時中断された。害の及ぶ範囲が未知数であったため議長判断で国会議事堂が封鎖され、軍が処理を担当。その日の出来事はすべて封印され議事録からも消された。


    一週間後に国会が再開されたが、出席議員数は一〇名にも満たなかった。


    報告六号


    報告案件 猿
    報告者 三枝伸司(さえぐさしんじ)(山林警備員)


    岐阜県某所に地元民からシニコと呼ばれる野猿がいるとの通報があり、軍調査部が出動。野猿の棲み処の山野に分け入ったが戻らなかった。のちに後続が現地山林警備の応援を受け再調査。山中で他の生物の死骸に死骸を突き刺し合成している猿を発見し、即時射殺した。


    明確な右園死児(うぞのしにこ)案件ではないため、各部署の見解には相違がある。

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