あなたが癒される香りは? 京都を舞台に優雅で風流な香りの文化“香道”の世界に触れる
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古くからさまざまな伝統・文化が息づく街、京都。
そんな京都の“老舗のお香屋さん”を舞台とし、香道に魅了される人々の物語を描いた作品。それが『京の都の香の路』(霜月星良/KADOKAWA)である。
物語は、主人公・瀬戸大輝が京都の某医大を不合格になったところから始まる。
失意の中彼が出会ったのは、老舗のお香屋・薫風堂を営む男・栄薫(さかえかおる)。彼との関わり、そしてお香によって自身の凝り固まった気持ちが解れ、大輝は少しだけ前を向けるように。
元は家業のために目指していた医大。
だが改めて己の人生を考えた時、大輝は薫のように、香りで誰かを癒せるようなセラピストになりたいと思い始める。
その気持ちのまま再度薫風堂へ訪れ、弟子入りを志願した大輝。柔らかな笑みでそれを受け入れた薫と共に、彼は香りの道を学び始める。
作品の一番の見どころは、やはり香の道=香道の奥深さや魅力に触れられること!
華道や茶道のように、文化の道を極める香道。普段あまり馴染みがないことに加え、京都が舞台ということもあり、ハードルが高そう…なんだか難しそう…と思う人もきっといるはず。
だが香道で扱う“香り”にまつわるものの中には、私たちの暮らしにも身近なアイテムがたくさん。
香水やルームフレグランス、アロマや練り香水…本作はそれらも絡めつつ香道という文化の魅力を描くため、読んでいる内に「なんだか香道っておもしろそう」「興味が湧いてきた」と思う人もたくさんいることだろう。
作中では香道の文化についてのみならず、日常的な香りについての小話も満載!
桜や蓮、金木犀…季節を感じる花々の香りを想像しつつ物語を追うのも、本作の楽しみ方のひとつだ。
歴史があり風流で、そして思ったよりもずっと身近な、香りと香道の世界。お気に入りの香りに癒されながら、穏やかな気持ちでストーリーを追ってみるのはどうだろう。
文=ネゴト / 曽我美なつめ
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