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唯一無二のスモーキーな歌声と多彩なサウンドでリスナーを魅了し続けるシンガーソングライター・iriが、2026年のデビュー10周年を前に初のエッセイ『相反』を上梓した。これまで明かされてこなかった幼少期の記憶や日常、言葉や創作との葛藤、そして人間・iriのルーツを赤裸々に綴った一冊だ。「誰かに話したかった」と語る彼女が、初めてゼロから言葉と向き合って見出したものとは。


言葉をゼロから紡ぐ——初著書『相反』に込めた想い



——とても可愛らしい装丁です。音楽活動とはまた違う作業だったと思いますが、まずは本を出版することになったきっかけから教えてください。


iri:かなり前から詩や詩集を読むのが好きで、楽曲の歌詞としてではなく、言葉そのものとしての詩を書いてみたいという思いはずっとありました。スタッフにも「いつか書いてみたい」と話していたんです。そうしたなかで、2026年にデビュー10周年を迎えるタイミングに向けて「本を作りましょう」とお声がけをいただきました。10周年という節目でもあるので、短い物語のようなコラムを挟みつつ、自分の幼少期からの歩みを振り返るような内容になりました。音を聴いて言葉を乗せる歌詞とは違って、ゼロから言葉そのものを書いてみたいという思いはずっとあったので、念願が叶った形です。


——ご自身の過去を振り返り、それを公に発表するにあたって意識されたことはありましたか?


iri:私自身、普段から日記をつけているわけでもなく、過去の出来事や感情を残しているものといえば作った曲しかなかったんです。写真などはあっても、その時どういう思いだったかという記録はどこにも残していませんでした。だからこそ「忘れてしまっていたことがたくさんあったな」と実感しましたね。本の中にも書いたのですが、色々な人との出会いがきっかけとなって自分の夢に近づいていったこと、その一つひとつに意味があって、現在の音楽活動へと一本の線で繋がっているんだということを改めて感じることができました。


——本の冒頭には、自分の内面を見せることへの「見せたいような、見せたくないような」という葛藤も綴られていました。執筆前と完成後で気持ちの変化はありましたか?


iri:書き終えた今でも恥ずかしさはありますね。普段からSNSでもプライベートな本音は書きませんし、インタビューでも私生活の深い話はあまり語ってきませんでした。「この歌詞はどういう意味ですか?」といった質問にも、昔からあまり答えてこなかったんです。聴く人の解釈を狭めたくないですし、自分の内面をあからさまに説明するのがあまり好きではなかったので。でも今回の『相反』には、そうした隠してきた部分を素直に書くことができました。だからこそ「見せていなかった部分を出してしまって恥ずかしい」という思いもありますし、これを読んだことで作品をより深く楽しんでもらえるのか、それとも「印象が変わってしまった」と思われるのか、少し不安もあります。それでも、良い形で届いてくれたらいいなと思っています。


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