マスコミは本当に腐っているのか? 腐敗した業界をぶち壊し、再生させようとする記者を描く『マスゴミ未満』スペシャル鼎談
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「マスゴミ」という言葉がある。これはマスコミを揶揄し、批判するときに使われるネットスラングだ。SNSで検索してみれば、驚くほどふつうに使われている。それぐらい、現代はマスコミへの不信感が高まっているのかもしれない。
たしかに、日々のニュースを目にしていて、その報道姿勢に疑問を抱いてしまうことはある。もっと報じるべき大切なニュースがあるのではないか。どうして事件の被害者を追い詰めるような質問ばかりするのだろうか――。
しかしながら、そうやって批判されるマスコミの世界で、信念を持ち、正しくあろうとする人たちが存在するのも事実だ。
『マスゴミ未満』(みずほ大:原作、松浦ショウゴ:作画/白泉社)はまさに、マスコミ業界で闘う男を描くマンガである。主人公は報道記者の加山雄一。「意義のないスクープ」には興味を持たず、社会のなかで追い詰められている人々の声に耳を傾けようとする人物だ。しかし、雄一の思いは報われない。勤めるテレビ局で求められるのは、視聴率が稼げるネタのみ。誰も注目していないストーカー事件よりも、動物園のニュースが優先される。そんな世界に嫌気がさした雄一は、ある日、とんでもない行動に出る。それを機に、雄一はフリーのジャーナリストとして、“腐った”報道機関を壊し、再生させることを決意するのだが――。