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紫式部『源氏物語 三十六帖 柏木』あらすじ紹介。源氏のお咎めを恐れる豆腐メンタルな柏木。源氏の妻を寝取った男の末路とは…

  • 古典文学の名著『源氏物語』を読んだことはありますか。教科書に掲載されていたり、作者・紫式部の人生がドラマ化されたりして、興味がある方も多いかもしれません。どんな物語なのかを知ることができるよう、1章ずつ簡潔にあらすじをまとめました。今回は、第36章『柏木(かしわぎ)』をご紹介します。


    源氏物語 三十六帖 柏木

    『源氏物語 柏木』の作品解説


    『源氏物語』とは1000年以上前に紫式部によって書かれた長編小説です。作品の魅力は、なんといっても光源氏の数々のロマンス。年の近い継母や人妻、恋焦がれる人に似た少女など、様々な女性を相手に時に切なく、時に色っぽく物語が展開されます。ですが、そこにあるのは単なる男女の恋の情事にとどまらず、登場人物の複雑な心の葛藤や因果応報の戒め、人生の儚さです。それらが美しい文章で紡がれていることが、『源氏物語』が時代を超えて今なお世界中で読まれる所以なのでしょう。


    『柏木』は、『若菜』巻で不義密通が源氏に露呈した柏木と女三の宮のその後を描いています。この出来事で源氏は、継母である藤壺と密通し子をなした暗い過去を思い出し、自らの過失の因果応報を思い知ります。ただし、源氏や藤壺は絶対に周囲に悟られまいと心して平然と繕っていましたが、柏木と女三の宮は、手落ちだらけの不倫劇を引き起こした上にその後のひ弱さが目立ちます。継母、しかも帝の后に手を出した源氏の圧倒的なメンタルの強さとの対比が面白いですね。

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