転校先で好物を聞かれてパニック! 第一印象を気にしすぎて出た謎の回答/好きな食べ物がみつからない③
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『好きな食べ物がみつからない』(古賀及子/ポプラ社)第3回【全6回】
周りからどう思われるかも気になり、本当に好きな食べ物がわからなかったエッセイストの古賀及子さん。「好きな食べ物はなんですか?」この問いに、うまく答えられない人は多いのではないでしょうか。自分のことは、いちばん自分がわからない。どうでもいいけど、けっこう切実。放っておくと一生迷う「問い」に挑んだ120日を、濃厚かつ軽快に描いた自分観察冒険エッセイ『好きな食べ物がみつからない』をお届けします。好きな食べ物をみんなの前で発表する!
好きな食べ物の表明に、はじめて直面したのは小学5年生の夏だ。夏休みに転校した私は、転校先の学校の教室でクラスメイトの前に立って挨拶をすることになった。先生が黒板に「古賀及子さん」と、ふりがなをつけて大きく書く。漫画と同じだと思った。
「こがちかこです。よろしくおねがいします」