玄関に書かれた「出テイケ」の文字。閑静な住宅地に潜む謎の真相に迫る、サスペンスセミフィクション『この街の誰かに嫌われています』
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世の中、人間関係ほど難しいものはない。分かり合いたい、心を通わせたいとどれほど強く願っても、人にはそれぞれ異なる価値観や背景がある。そして時には、こじれにこじれた人間関係が思いもよらない出来事を引き起こすケースもあるのだ。
そんな一例を描いた『この街の誰かに嫌われています』(グラハム子/KADOKAWA)は、閑静な住宅地を舞台としたサスペンスセミフィクション。ゆるっとした優しいタッチの絵柄とは裏腹に、ミニマルな人間関係の異質さが強いリアリティをともなって読み手の胸に迫る。
物語は、子どもの小学校入学を機に郊外の住宅地に引っ越してきた主婦・里奈の視点から展開される。人好きのする性格から、近所の人々と良好な関係を築いていく里奈。しかしある日、元来の正義感の強さから、公園で出会った見知らぬママと口論をしてしまう。
その日を境に、彼女の生活は一変した。植木の破壊。スプレーでデカデカと書かれた「出テイケ」の文字。陰湿な嫌がらせの犯人は口論相手のママに違いないと疑う里奈は、何とかして決定的な証拠をつかもうと奔走する。しかしその後、事態は思わぬ方向へ展開していくのだった。