『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』働くすべての人の疑問に迫る、2024年ベストセラー《著者・三宅香帆氏インタビュー》
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2024年4月に発売され、刊行1週間で累計10万部を突破、12月現在も売れ続けている話題の書籍『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』(三宅香帆/集英社)。本書は「あんなに好きだった読書が、働いていたらできなくなった」という著者自身の経験をもとに、読書史を近代以降の日本人の労働史と絡めて分析する1冊。その内容は、「働き方改革」が叫ばれる今もなお、気がつけば読書よりもスマホ閲覧を優先してしまう多くの「働く人々」の心に刺さる。
「書店員が選ぶ ノンフィクション大賞2024」にも選ばれた本書。著者・三宅香帆さんに、本書に登場した「教養」「ノイズ」という考え方や新書の魅力、働きながら趣味を楽しめる社会などについて、うかがいました。
(取材・文=立花もも)
「最低限必要な教養」が、差別的なニュアンスに変わってきた!?
――『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』(集英社)は、本に限らず「仕事と趣味が両立できない」という現代社会で多くの人が抱える苦しみに焦点をあてた本でした。「日本人の働き方史」としても、読み応えがありましたが、執筆したことで何か発見はありましたか?