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sumika片岡健太のエッセイ連載「あくびの合唱」/ 第7回『おもてなしの神』

  • ベッドのマットレスが壊れた。 真ん中の部分だけスプリングが凹んでしまい、寝ようとすると身体がくの字になってしまう。8年間、毎日身体を支えてくれた相棒に粗大ゴミシールを貼って、僕は新しい眠りのお供を探しにいくことにした。


    ネットで見つけた、近所で最も多くの種類のマットレスを置いている寝具店。老舗感のある店構えだが、最近よく広告で見かける新しいブランドから、高級品まで幅広く取り揃えているようだった。 店に入るなりスタッフの方が、「いらっしゃいませ」と優しいトーンで声をかけてくれた。白髪眼鏡に蝶ネクタイを結んだその方は、話を聞くと勤続35年の大ベテランらしい。包容力のある笑みを浮かべながら、「わからないことがあったらなんでも聞いてくださいね」と言ってくれた。安い買い物ではないからと、やや食いしばり気味にしていた口元が思わず緩む。兼ねてから抱えていた睡眠の悩みも、このタイミングで解消できたらと思い、遠慮なく相談させてもらうことにした。

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