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母娘ふたりで幸せになってやる! モラハラ父の裏切りを乗り越える家族の物語『お父さんの不倫、気づいてないとでも思ってる?』

  •  親が子どもの前で見せる姿は、子どもの人格形成に大きく影響する。親が家族を裏切る行為をしていると知ったとき、子どもの心にはどれだけ大きな混乱や失望が生じることか――。『お父さんの不倫、気づいてないとでも思ってる?』(リアコミ:原作、山田ぽむち:漫画 /KADOKAWA)は、そんな一例をリアリティ豊かに描いた物語だ。


     主人公・サクラは、大学受験を控えた女子高生。「稼いでないくせに無駄遣いしやがって!」とモラハラばかりの父親。父親の暴言にいつも黙って耐えているおとなしい母親。家庭内に広がる重苦しい空気に、サクラは居心地の悪さを感じていた。


     そんなサクラに追い打ちをかけるように、父親の不倫が発覚する。しかも相手は、サクラが通う塾の講師だった。サクラが恐る恐る不倫相手のSNSを覗くと、匂わせ写真のオンパレードで――。


     母親を傷つけたくない一心から何も知らないふりを続けていたサクラだったが、ある夜、ついに我慢の限界を迎えて母親に真実を告げる。「ずっと言おうか迷ってたんだけど、お父さん不倫してる……」。

     不倫という裏切りに直面したとき、自分を守るために心を閉ざしたり、周囲との関係を避けようとしたりする人は少なくないだろう。しかし、目をそらし続けていては幸福にはなれない。


     本作の見どころは、それまで抑圧されてきた母娘が手を取り合い、苦しい状況から抜け出そうと立ち上がる姿のたくましさだ。いつもおどおどしていた母親が、夫の目をまっすぐに見つめながら離婚を切り出す場面は、困難に負けずに立ち上がる勇気を与えてくれるだろう。


     これ以上は我慢しないと決意し、自分自身の手で未来を切り拓こうとする母と娘の在り方のなんと清々しいことか。


     皮肉なことに、父親の不倫に向き合おうとする過程で、母娘の絆はさらに深まったといえるのかもしれない。母娘ふたりで幸せに暮らしたいと願う彼女たちの思いが行き着く先を、ぜひとも見届けてほしい。


    文=ネゴト / 糸野旬

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