悪質な嫌がらせの犯人はママ友!?正体不明の悪意に翻弄される日々の結末は…?『不明確な悪意~引っ越し先はママ友地獄~』
-
見知らぬ誰かからの嫌がらせだと思っていたら実は身近な知り合いが関わっていたという事件やトラブルは実に多いと聞く。『不明確な悪意~引っ越し先はママ友地獄~』(リアコミ:原作、サカド、秋山はな:漫画 /KADOKAWA)は、そんな一例をリアルに描いた日常系サスペンスだ。
主人公・タマミは、夫と小学生の息子とともにこの街に引っ越してきて1年。彼女は、2人のママ友と親しくしている。1人は、タマミの夫の古い知り合いだというあやなさん。もう1人は、わざわざ自宅まで落とし物を届けてくれた愛子さん。一緒にお茶をしたり、子どもの付き添いで行った映画館で偶然行き会ったり。平凡で穏やかな日々が過ぎていく。
そんなタマミは最近、家から物がなくなることに悩まされていた。お気に入りの傘に絵本、マグカップ。日常生活で使う小物の数々が、忽然と姿を消えてしまう。
不安を感じていた矢先、さらに何者かによる悪質な嫌がらせが頻発。ドアに「死ね」とスプレーで落書きをされたり、息子が車に轢かれそうになり怪我をしたり。さらには「殺してやる」というメッセージまで。そして、とうとう犯人と鉢合わせするのだが、相手はまさかのママ友の1人で――。
本作の見どころは、登場人物それぞれが抱える事情や思惑により生じる緊張感、そして生々しいほどの臨場感だろう。誰が何を知り、何を隠しているのか。その秘密を知りたくて、いつしかページをめくる手が止まらなくなってしまった。
世の中は案外狭いものだ。ふとした偶然が知り合いをつなげ、意外な場所で昔の知人と再会させたり。一見無関係な人々が、水面下で複雑に絡み合い、互いの人生に大きな影響を与える。
さらに、物語序盤ではあたかも部外者のように描かれていたタマミの夫が、実はこの事件の中心人物であった点も見どころのひとつ。入り組んだ人間関係が織りなす予測不能なストーリー展開、そして、彼らの思いが辿り着く結末を見届けてほしい。
文=ネゴト / 糸野旬
スタンプを獲得するには、一度 ワラウ を経由してください
記事一覧に戻る