ミスユニバースを10人の男が奪い合う恋愛リアリティショー! 人種・ジェンダー問題・視聴者の欲望をあぶりだす、芥川賞候補作『DTOPIA』【書評】
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南太平洋のボラ・ボラ島を舞台に、“ミスユニバース”に選ばれた白人女性を、世界各国から集められた10人の男性が奪い合う。恋愛リアリティショー「デートピア」を、世界中の視聴者がみずからの欲望に添った視点で再編集し、消費し、楽しむ姿を描き出す安堂ホセさんの小説『DTOPIA』(河出書房新社)。1月15日(水)に発表される芥川賞にノミネートされたことでも注目を集めている同作、のっけから掟破りの展開が続く。
まずは体の相性を確認するというミスユニバースによる宣言と乱交のようなパーティ模様から始まり、使用人役をつとめる現地の男との“浮気”、その理由としてあげられた「参加者の中に黒人が一人もいない」という問題提起(だけど実際、現地の男は黒人というよりはモンゴロイドで、浮気の言い訳に過ぎないことは明白)。実際にこの番組が配信されていたら、SNSで賛否両論が入り乱れ、紛糾していただろう。