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「電磁波で理想の性格になるんですよ」息子が“よい子”になることを望んだ母親は… リアリティ満載の現代SFオムニバス『死んだ彼氏の脳味噌の話』

2024年4月19日

  •  現実にはありえない、様々な“もしも”の話。だがそんな“もしも”を通じていろんな考えを働かせることで、今まで知らなかった自分の一面を見つけたり、普段は考える機会のあまりない、哲学的な価値観へと気軽に思いを馳せてみたりすることができる。生活の中ではあまり使わないものの、私たちが一人間として生きる上で、とても大切な思考。それがSFと呼ばれるジャンルの醍醐味でもあるだろう。


    『死んだ彼氏の脳味噌の話』(KADOKAWA)は、SNSを中心に活躍するQuqu氏の初単行本作品だ。本著には、Ququ氏がこれまでにネット上に掲載した「死んだ彼氏の脳味噌の話」「よいこくん」「セレブ男の飼い猫」ほか、書き下ろし短編2作を加えた全8作のSF短編マンガをオムニバス形式で収録。


    死んだ彼氏の脳味噌の話

     作品はすべて現代を舞台として描かれているが、当然ながら現実には有り得ないことばかりだ(少なくとも、今の時代の技術では)。しかし一方で、私たち読者にとって「もしこんな出来事が自分の近くで起こったら?」「あるいは、これが自分事になったら?」という想像を思わず掻き立てられるような、リアリティある物語ばかりが詰まっている。

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